目次
UAからGA4へ移行するための手順
多くのサイトでUAが導入されていますが、2023年7月1日の計測停止に伴い、GA4への移行が必要と考えている企業やサイトが多いのではないでしょうか。新規にこれからアクセス解析を行う場合はUAを気にする必要はありませんが、UAを今まで利用してきたサイトはUAを中心にデータ集計・分析・マーケティングを行ってきたのではないでしょうか。
そこでUAからGA4に移行するための手順と具体的な説明をまとめました。ぜひ移行の参考にしてください。
移行スケジュールの策定
まずは移行スケジュールを社内やクライアントと議論しましょう。要件によって移行にかかる期間は変わります。最小の要件であれば数週間、実装も含めしっかり行う場合は数ヶ月は見ておきましょう。また複数サイトある場合は、どのような順番で移行していくかを考える必要もあります。社内で優先順位付けを行いましょう。
移行プロセスは大きく分けて以下の通りとなります。
既存要件の整理
↓
新規要件の追加
↓
(設計書への落とし込み)
↓
GA4の初期実装
↓
GA4の初期設定
↓
GA4の追加実装
↓
GA4の追加設定
↓
計測確認
↓
本番リリース
↓
データ閲覧方法の整理
↓
連携ツールの移行
移行プロセス(GA4実装開始前の作業)
UAの利用状況を整理する
社内でUAをどのように利用しているのか。UAの閲覧権限を持っている人達に連絡をして確認を行いましょう。特に確認が必要なのが以下の5つの項目になります。
- 利用用途
- 利用頻度
- 外部ツールとの連携有無(データポータルや広告配信等)
- 利用しているコンバージョン
- 利用しているイベントやカスタムディメンション
これらを収集した上で、要件表を作成しましょう。実装・設定方法はこのタイミングで入力が難しい場合は空白でも大丈夫です。
要件 | GA4での方針 | 実装・設定方法など |
---|---|---|
ランディングページのレポートを週次で抽出 | 対応する | 探索レポートで作成を行う |
ファイルのダウンロードを計測 | 対応する | 拡張計測機能にて取得 |
Excelのプラグインを利用してCVを取得 | 対応不可 | プラグインがGA4に対応していないため、Spreadsheetあるいは手動対応 |
複数のコンバージョンが設定されていて同じ値が入っている | 整理する | 設定している目標を見直し、現在の10個から4個に整理する |
権限管理ができていない | 対応する | GA4では権限をいったんリセットして必要な人にのみ再度付与を行う。残りはリクエストベースで対応 |
GA4での計測方針を整理する
要件表を作成した上で、GA4での計測方針を整理する必要があります。特に以下の内容を検討しましょう
- コンバージョンは同じものを設定するのか?
- カスタムディメンションや指標で取得していた内容をGA4でも取得するのか?
- イベントで取得していた内容をGA4でも取得するのか?
- GA4は「ビュー」という概念が無いため、どのようなプロパティ構成にするのか(また何を計測除外するのか)
- 他ツールとの連携で必要なものはなにか?
- 運用レポートの内容で見直しが必要なものはあるのか?
整理を行いつつドキュメントとしてまとめていきましょう。
拡張計測機能などを利用することで、UAでは実装やGoogle Tag Managerで設定していた内容がGA4では設定や実装を行わずとも計測が出来るケースがあります。このような場合は、拡張計測機能を利用するのか、利用せずに引き続き設定と実装を利用するのかを判断する必要があります。後者を選ぶ場合は二重計測にならないように、該当する拡張計測機能をオフにしましょう。
新規要件の追加
既存の要件以外に、GA4導入のタイミングにあわせて新規に計測したい内容を整理して、リストアップを行いましょう。
これらも追加要件としてまとめて、どのような方針で計測をするのかを整理しましょう。
GA4の導入は既存の計測要件を見直す非常に大切な機会です。何も考えずに新規にGA4を導入する、使っていないのに整理せずに全部GA4で計測を再現するなどは行わないようにしましょう。この機会を使い、改めてどういったデータを取得して、どういう活用をするのかを。ぜひ整理しましょう。
移行プロセス(GA4実装開始~本番リリース)
基本計測と初期設定
要件が整理出来たらいよいよGA4を実装していきます。
まずは計測タグの追加と初期設定を行います。詳しくは計測開始までの手順をご覧ください。既存要件や新規要件の実装は一旦おいておき、まずはGA4で計測が出来ているかの確認するための作業を行います。
計測が確認出来たら初期設定を行います。クロスドメイン設定やIP除外の設定など取得するデータの精度を上げるための取り組みになります。データの取得が確認出来たら、追加要件に対応していきます。
追加要件の実装と計測確認
コンバージョン、イベントなどGA4あるいはGTMで設定が必要な内容を1つずつ進めていきます。設定と実装方法を元に一つずつ計測の追加を行っていきましょう。
実装を進める際は1つずつ手順を確認していきましょう。まとめて設定を行ってしまうと、データ計測ができていない時などの検証が難しくなり、かえって時間がかかります。
この際にUAとGA4でどのようにデータを取得しているか。実装設計書を作成する事をおすすめします。今後の検証と運用が楽になります。
Google Tag ManagerのプレビューモードやGA4のDebug Viewと使ってデータが取得出来ているかを確認しましょう。またこれら検証機能でデータが取得出来ていても最終的にレポートに反映されているかの確認は必要です。
プレビューモードやDebug Viewはリアルタイムで計測の確認できますが、各レポートへの反映は24時間~48時間かかるケースがあります。十分に時間を取って計測チェックを行っていきます。実装全体のプロセスでこのステップが一番時間がかかります。
本番リリース
計測の確認が一通り終わったら本番環境へのリリースを行いましょう。データが正しく計測出来ているかの確認が再度必要になります。全ページの計測確認は必要ないかと思いますが、主要なページのチェックは必要です。GAもあわせて計測している場合、極端な数値のズレがないかを確認しましょう(10%くらいは平気でずれますが)
こちらも数日間あると余裕をもって検証を行うことが出来ます。
移行プロセス(本番リリース後)
データ閲覧方法の整理
リリース後にまず行う必要があるので、自分達が今まで見ていた、あるいは見たいデータがどこで閲覧出来るかの整理になります。レポートの中に含まれていることもあれば、探索機能を使ってカスタムレポートを作成する必要があるかもしれません。
最初のステップの「UAの利用状況の確認」で整理した内容をGA4でどのように再現するのかレポート作成などをしてみましょう。
またUAとGA4レポート画面の使い方も大きく変わったので、今まで使っていた方に向けての勉強会なども必要になるかもしれません。GA4に移行するための手助けを積極的に行いましょう。
連携ツールの移行
データ計測と数値の確認が終わったら、今までUAを使っていた業務をGA4に対応する必要があります。UAからGA4に移行しても、自動的に連携ツールは移行されません。Googleデータポータルであれば、GA4のプロパティと接続しての再作成が必要となります。また手動で作成している運用レポートも数値の出し方が変わるため作成方法から整理する必要があるでしょう。
UAで連携していたGoogleの他プロダクトとの再連携も必要となります。詳しくは管理画面のセクションをご覧ください。
UAからGA4移行に関するFAQ
A:UAの計測停止は2023年7月1日になります。移行に関してはなるべく早いほうが良いでしょう。少なくともタグ追加と初期設定だけでも行うことを推奨します。計測停止までは並行計測を行い、停止までの期間にGA4の利用に慣れたり、他システムのGA4対応を行っていきましょう。
A:まとめる方法はありません。そのためUAとGA4の並行計測を推奨します。
A:GA4にビューはありません。複数ビューを作成していた場合(例:社内IP除外、開発環境含むなど)どれをメインにするかを決める必要があります。オススメとしては全データを計測するプロパティを作成し、GA4の設定で社内IPでのアクセスがあった場合に特定のパラメータを付与(管理画面で出来ます)することです。特定のパラメータを付与して設定する方法はデータ設定をご覧ください。これらを含むあるいは除外したいデータを見る際には、探索機能でセグメントを作成して、特定のパラメータやドメインを除外します。
有償版のGA4はサブプロパティという機能があり、こちらを利用することでビューを再現することが可能です。ただ利用にあたり追加でコスト(元プロパティのイベントの半額分)が発生します。
A:計測定義等が違うので基本合わないと思ってください。数割ずれることもあります。ただ全く取得出来ていないとか、2倍以上の差がある場合は実装や設定に問題があるケースがあります。以下の点を確認してみましょう。
- UAとGA4での計測対象範囲は同じか(片方だけ一部サブドメインが入っていないなど)
- 二重でタグを実装していないか
- IP除外設定やクロスドメイン設定などは同一条件を設定しているか
- 見ている指標やディメンションを間違えていないか
A:Google Tag Managerで設定している変数やトリガーはほぼそのまま使い回せます。イベント計測タグに関してはUAとGA4で仕組みも違うため、GA4用に新たに設定する必要があります。eコマースに関しては一部変数名などは同じものの、違いもあるため、UA用とGA4用の計測記述を両方とも追加し、Google Tag Manager上でそれぞれの計測設定を行う事を推奨します。
A:ほぼ同じ形式での取得を考えるのであれば、UAのイベントカテゴリ名をGA4のイベント名とし、イベントアクションやイベントラベルに関しては、イベントパラメータとして(例:event_actionとevent_label)計測するのが良いでしょう。ただGA4の良いところは、今までの3分類に縛られずに自由にイベント名やパラメータを好きな名称で設定出来ることです。このタイミングで計測要件に基づいてどう取得するかを整理すると良いでしょう。
A:カスタムディメンションや指標に関してもイベント及びイベントパラメータで取得するという形にGA4では統一されました。イベントを使って取得を行いましょう。ただカスタムディメンションであったスコープ(ユーザー、セッション、ヒット、商品)のうちGA4で対応しているのはユーザーとヒット(=イベント)のみとなり、セッションや商品をスコープとしたイベントは作成が出来ません。